障害者年金基礎知識

 
障害者年金とは

 

障害年金とは、病気やケガで生活や仕事などが制限される場合に、20歳以上の方が受け取ることができる国の公的年金「保険」です。
障害年金は、ご自身の生活を支えてくえる大切な制度と言えます。
公的年金と言えば、原則65歳から受け取る事ができる「老齢年金」と、被保険者が亡くなった際に遺族が受け取る事ができる「遺族年金」が一般的に知られています。
しかしながら残念な事に、障害年金の制度はあまり知られていないために、受け取られてない方が本当にたくさんいらっしゃいます。
また、障害年金は生活や仕事などが制限されると自動的に受け取る事ができるのではなく、請求手続きをしないと受け取る事はできません。

 
 
障害年金の種類

 

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。
初診日の時点で加入していた年金制度ごとに、受給できる障害年金の種類が異なります。
※ 平成27年10月から、それまでの共済年金制度が廃止され、被用者の年金は厚生年金保険制度に統一されました。
「初診日:障害の原因となった傷病(病気やケガ)で初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」

 

1. 障害基礎年金
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業・専業主婦・学生の方など(第1号被保険者)や、会社員や公務員の方(第2号被保険者)、20歳以上60歳未満の第2号被保険者の配偶者である方(第3号被保険者)で、障害等級が1〜2級に該当する方が対象となります。
また、初診日の時点で20歳未満の方や日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げしている場合は除く)の方で障害等級が1〜2級に該当する方も対象となります。
*子に対する加給年金が支給される場合があります。(障害者年金もらえる額を参照願います)

 

2. 障害厚生年金
初診日の時点で厚生年金保険に加入していた方で、障害等級が1〜3級に該当する方が対象となります。
厚生年金は「2階建て」の仕組みをなっております。その為1級又は2級に該当する場合は「障害基礎年金と障害厚生年金」を受給することができます。
3級であれば障害厚生年金だけを受給する事となります。
また障害等級1〜3級に該当しなかった場合、一時金として障害手当金が支給される事があります。
*配偶者に対する加給年金が支給される場合があります。(障害年金もらえる額を参照願います)

 
 
障害者年金もらえる金額(受給額)

 

障害年金は、それぞれの種類(障害基礎年金又は障害厚生年金)によりもらえる金額が異なります。
また、障害等級が上がればもらえる金額も多く、配偶者や子どもの有無によっても金額が変わります。
障害年金は非課税ですので、老齢年金のように所得税や住民税を源泉控除されることはありません。

 

1.障害基礎年金(平成29年度4月1日現在)
障害基礎年金は定額で、1級は2級の1.25倍となります。
1級779,300円×1.25(+子がある場合は加給年金)
2級779,300円(+子がある場合は加給年金)

 

*子の加給年金額:1人目・2人目の子(1人につき224,300円)
         3人目以降の子(1人につき74,800円)
*子とは:18歳年度末(高校を卒業する年齢)までの子供
     障害等級1級又は2級の障害状態にある20歳までの子供

 

2.障害厚生年金(平成29年度4月1日現在)
障害厚生年金の額(報酬比例の年金額)は、厚生年金に加入していた期間(月数)、給与の額などで異なります。
厚生年金は、2階建ての制度となっている為、1級又は2級に該当するのであれば「障害基礎年金+障害厚生年金」を受け取れることになります。(下記図表参照)

 

1級  報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(+配偶者がある場合は加給年金)
2級  報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(+配偶者がある場合は加給年金)
3級  報酬比例の年金額(最低保障額 584,500円)
障害手当金   報酬比例の年金額×2年分(最低保証額 1,169,000円) 
(一時金)

 

*配偶者の加給年金額 224,300円
*厚生年金加入期間が、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
また、障害認定日の属する月後の厚生年金加入期間は、年金額計算の基礎とはされません。
*障害手当金とは障害の程度が障害厚生年金の対象となる障害の程度よりも軽い場合であってその初診日から5年を経過する日までの間にその傷病の治った日において一定の障害の状態にある時等に支給される一時金です。

 

 

図表

 
 
障害年金もらえる条件(受給要件)

 

障害年金は、病気やケガで生活や仕事などが制限されている方で、下記の1〜3全ての要件を満たす方が受給対象者となります。
1.初診日要件
初診日において次のいずれかに該当していること
【*初診日:障害の原因となった傷病(病気やケガ)で初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日】

  • 国民年金、厚生年金又は共済年金に加入していたこと
  • 20歳未満
  • 国民年金に加入したことがある方で、国内居住の60歳以上65歳未満の方(老齢基礎年金を繰り上げて受給させている方を除く)

 

加入していた公的年金制度(国民年金や厚生年金など)の保険料を一定期間以上納めていないと、障害年金を受け取ることができません。
この条件のことを「保険料納付要件」と言います。
次のいずれか(原則または特例)を満たしている必要があります。

 

◆原則:3分の2以上要件
初診日の前日において、その初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。

 

◆特例:直近の1年間要件
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間(保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間)がないこと。
(特例は、初診日が平成38年4月1日前であり初診日に65歳未満の場合)
*なお、20歳前の傷病により障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません

 

3. 障害認定日要件
障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
障害認定日とは、次のいずれかの日をいいます。

  • 初診日から1年6カ月が経過した日
  • 1年6か月が経過する前に症状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日

 

「例外」として、下記の状態になった場合も障害認定日として扱われます。

人工透析  人工透析開始から3ヶ月を経過した日
心臓ペースメーカーや人工弁の装着   装着した日
人工肛門や人工膀胱の造設  造設した日
人工関節や人工骨頭を挿入置換 挿入置換日
手足の切断、離脱  切断又は離脱した日
脳梗塞、脳出血などによる肢体の障害 初診日から6ヶ月以上経過し、医師が症状固定と判断した日
咽頭全摘出  全摘出日 
在宅酵素療法  開始日   
胸部大動脈解離により人工血管挿入置換  挿入置換日
遷延性植物状態 状態に至った日から起算して3ヶ月を経過した日以後

 

*障害認定日において障害等級に該当しなかった場合でも、65歳の誕生日の前々日までに症状が悪化して障害状態に該当すれば、事後重症という請求ができます。請求した翌月から障害年金が受給できるようになります。

 

 

障害年金の対象となる疾病
障害年金対象疾病一覧参照

 

 

障害年金の請求方法
障害年金の基本的な請求方法には3パターンあります。

 

◆パターン1「本来の障害認定日請求」
〜障害認定日から1年以内に申請〜

初診日から1年6ヶ月経過した日「障害認定日」から1年以内に請求する場合です。
障害年金は障害認定日の翌月分から支給されます。

必要な診断書:障害認定日以後3カ月以内の現症の診断書

 

 

◆パターン2「遡及の障害認定日請求」
〜障害認定日から1年以上経過しての申請〜

障害年金を知らなかった等の理由で、障害認定日から1年以上経って請求する場合です。
障害認定日に遡って障害年金を受け取る権利が発生し、障害認定日の翌月分からの障害年金が初回にまとめて支給されます。
ただし、時効の関係で、遡って受け取れるのは最大5年分までです。

必要な診断書:障害認定日以後3カ月以内の現症の診断書と申請日以前3カ月以内の現症診断書

 

 

パターン3「事後重症請求」
〜障害認定日に障害状態不該当であったがその後65歳までに障害状態に該当し請求〜

障害認定日には障害等級に該当していなかったが、その後に症状が悪化し65歳までに障害が増進し障害等級に該当した場合の請求です。
請求書は65歳誕生日の前々日までに提出することが必要です。
また、老齢年金の繰上げ請求後は、この事後重症請求はできないので注意が必要です。
請求した月の翌月分から障害年金が支給されます。障害状態に該当した月に遡って受給することはできません。

必要な診断書:申請日以前3カ月以内の現症の診断書

 

 

◆パターン4「20歳前障害による請求」
〜20歳前に初診日のある傷病により請求〜

20歳前の国民年金加入前に初診日のある傷病により障害等級に該当した場合の請求です。
障害年金は、障害状態を認定する日(20歳時または同日後の障害認定日)の翌月分から支給されます。


必要な診断書:障害状態を認定する日(20歳時または同日後の障害認定日)前後3カ月以内の現症の診断書

 

*その他詳しくは、お問合せください。

 

 

障害年金の障害認定基準

 

 

 

 

 

障害年金を請求したのに不本意な結果がでたら
不支給の決定を受けてしまったり、決定された等級に納得できなかった場合に不服申し立てができます。
この不服申し立てのことを審査請求・再審査請求といいます。